Archive for リースを知る

リース取引にかかわる税

ここでは、リース契約にかかる税制について説明します。

リースには様々な種類の税が関係しますが、基本的に税がかかわるのは物品の所有者であるリース会社のみです。

しかし、リースにどのような税がかかっているのかを知ることで、リースを利用する料金の内訳に税がかかわっていることを理解することができます。

法人税か、所得税か

リース会社が組織か、個人事業者かということによってリース取引が、法人税か所得税の取扱いになることがわかります。

会社組織の場合には、リース契約に法人税がかかわることになります。

また、リース会社が組織ではなく、個人で設立されたものなら、かかる税は法人税ではなく所得税になります。

消費税

リース取引をする物品には消費税がかかります。

リース料金の総額に消費税がかかったものを、ユーザーは支払わなければなりません。

固定資産税か、自動車にかかわる税か

リース契約期間中に、物品がユーザーの手元にあっても、リース会社が物品の所有者です。

物品の所有者には、地方自治体から固定遺産税がかかります。

この時、リースの対象物が自動車の場合、かかる税は固定資産税ではなく、自動車税、自動車所得税、自動車重量税になります。

また、リースの対象が自動車の場合の中でも、軽自動車の場合、自動車税が軽自動車税に替わります。

東日本大震災へのリース会社の対応と課題

2011年3月11日に発生した東日本大震災はリース業界にどのような影響を与えたのでしょうか。

震災が与えた影響はいろいろな業種にあります。

電気を供給する会社は、既存の電化製品だけでなく、太陽光発電などの再生可能エネルギーに着手するようになりました。

では、リース業界の変化をご紹介しましょう。

災害時のリース契約

基本的に、地震等の自然災害が発生したときに、リース契約を結んで使用していた物品が破損した場合、その責任の所在はユーザーにあります。

つまり、契約期間中に物品が破損したときも、ユーザーはリース会社に契約期間の分の使用料を払わなければいけないのです。

使用料を支払い終えるまで、たとえ、もう物品を使用することができない状況でも、契約は終了しないということになります。

そのため、地震と津波で被害を受けて、借りていた物品どころか、工場自体の運転ができなかったというのに、リース会社への使用料に苦しめられた地元企業も多くいました。

リース会社の災害への対応

その対策として、ユーザーからの要望により、リース会社は使用料の支払いに猶予を設けることにしました。

また、震災からの復興支援策をリース会社が担っていました。

それは、ほかの契約終了物品をリース会社から被災地の企業に送ったことです。

これによって被災地の企業からは大変喜ばれ、復興支援に携わることができました。

以上が、震災時のリース会社の対応です。

浮かび上がった課題

物品が破損した後にも、契約期間の分の使用料は払わなければいけないというのには理由があります。

地震や津波の時の損害には、損害保険会社の補償が及ばないのです。

日本に多い、地震や津波に対する補償を、リース会社や損害保険会社が行うということが課題として浮かび上がりました。

リースにかかわる会計

リース取引に関連する会計を理解するために、世の中の会社がどのような会計制度に基づいているのか、理解しておきましょう。

また、リース取引が、一般的な会社の会計とはどのように違うのか、その違いを理解しましょう。

トライアングル体制とは

日本に特徴的な会計の体制に「トライアングル体制」というものがあります。

これは、日本に存在する会社はすべて、会社法・金融商品取引法・税法の3つを守らなければならないことを表しています。

会社法は、会社の会計にとって必要不可欠な貸借対照表、損益計算書を書く時に必要です。

貸借対照表は会社の資産がどのくらいあり、また負債がどのくらいかさんでいるのか、会社の財務状況を示すものです。

損益計算書は、会社の支出と収入を照らし合わせて、最終的な利益を算出するためのものです。

金融商品取引法というのは、証券市場において取引をしている上場企業が守らなければいけないルールです。

税法は、会社が利益を出し、社会に影響を与える存在である以上、守らなければならないものです。

会社を経営していくときにも、上場企業として証券取引所で売買をするにしても、課税の対象から外れることはありません。

この3つの法律が密接にかかわりあって、会社の会計は成り立っているのです。

リース契約にかかわる法律

リース取引における会計体制を紹介します。

会社法には「リースにより使用する固定資産」に関する規定があります。

金融商品取引法には、リース取引をする会社がどのような財務諸表を書けばいいのか、その規定があります。

税法については、金融商品取引法に基づいてきちんと財務諸表を作成すれば、いちいち法人税や所得税の申告をする必要はありません。

リースを選ぶメリット・デメリット

ここでは、リースを利用することのメリットとデメリットについて説明します。

特に、通常の設備投資の方法として考えられる購入と比べて、どのようなところがメリット、デメリットとなるのか比較します。

リースのメリット

企業がリースを選ぶ一番のメリットは初期投資金額の軽減だといわれています。

新しい事業を始めようとするときに、その事業に必要な設備をすべて購入という形で賄おうとすると、購入の時点で会社の資金が一気に出てしまうことになります。

しかし、リース契約を選択すると、会社の資金が一度に出ることはありません。

リース会社に月ごとに使用料を支払う必要はありますが、購入とは違い資金が一度に無くなることはありませんので、使用料を支払いながら、ほかの事業を進めることもできます。

初期の設備投資の費用が抑えられることが、リースを選択する大きなメリットだといえます。

リースのデメリット

リース会社所有のものよりも、自己所有した方が安心ということもあります。

製造業の事業にかかわる設備の場合、何かの拍子に機器が壊れてしまうこともあります。

その機器を使う頻度が高く、事業の中でも大切な役割をその機器がこなしている場合には、その可能性が高くなります。

契約期間中に何度も、修理依頼をリース会社を通してするのは面倒だし、すぐに使えるような状態にしなければいけないのに、その時間がもったいない、という理由でリースよりも購入を選ぶこともあります。

リースのデメリットといえるでしょう。

リース契約にかかる金額の内訳

ここでは、リース契約にかかる料金について説明します。

ファイナンス・リース取引では、ユーザーに対してリース会社が支払う料金の内訳を公表することはありません。

しかし、ここではリース料金がどのように設定されているかを見るために一部の内訳を説明します。

物品の所得にかかる金額

ユーザーがリース会社に「この物品を使いたい」という要望を伝えた後に、リース会社が購入を検討します。

リース会社がメーカーや卸売会社と交渉して購入しますが、その金額はユーザーとリース会社の交渉によって決まったものに基づきます。

そのため、リース会社とメーカー・卸売会社の間で値段が決まることはありません。

リース会社の資金調達にかかるコスト

リース会社は大量の物品をリース用として購入しています。

このための資金の一部が契約にかかる費用にかかわっています。

リース会社はこの資金を調達するために、銀行などの大型金融機関から資金を借りるほか、約束手形や社債を発行し、その資金を投資家から調達します。

ファイナンス・リースの場合、物品を購入する際にリース会社が支払ったコストを、ユーザー側から回収することができます。

固定資産税

固定資産税というと、土地や家屋にかかる税金というのが一般的なイメージです。

家屋は固定資産税の対象となる

しかし、リース会社が扱う物品にも関わるものなのです。

固定資産税は物品の所有者にかかる税金なので、契約時の所有者、つまりリース会社が負う税金なのです。

ファイナンス・リースの場合、この固定資産税を含めた金額を契約によってユーザーから回収することになります。

リースはレンタルや割賦とは違う

ここでは、リースとよく混同されるレンタルと、割賦販売について、比較します。

レンタルはリースとは違い、貸出期間が短いことが特徴として挙げられます。

割賦販売は分割払いのことです。

商品を購入するときに、その場で全額を支払うのではなく、購入した後に代金を分割して支払うことです。

レンタルとの違い

レンタル商品には、自動車などの時間単位、ビデオレンタルなどの日数単位、ベビーベットなどの月単位の契約が主です。

中には、企業向けのパソコンのレンタルなど年単位の契約もありますが、リース契約の場合の数年に及ぶ契約などには該当しません。

リース契約のほうが、レンタルよりも期間が長いと思ったほうがいいでしょう。

工事現場の機器をリースするとしたら、工事期間中の数年は契約があるかもしれません。

契約期間の違いがありますので、レンタルの場合は申し込みの時点で、代金を全額支払うことになります。

割賦販売との違い

商品を購入するときに、全額を一括で支払うのではなくて、代金を分割で支払うことを前提にした商品販売を割賦販売といいます。

あまりに高額で、一括して払うことが難しい商品を販売する方法です。

購入後に商品を使用したとしても、分割払いにした代金を回数に分けて支払い続けなくてはなりません。

契約申し込みからリース終了まで

ここでは、一連のリース契約の流れを説明します。

企業が設備投資をするときに、購入するならば、物品を選んですぐに使用することができます。

しかし、リース契約を結び、物品を使用するのには、申し込みからリース期間の終了までに、複数のプロセスを踏まなければなりません。

物品の選定

利用したい物品をユーザーが選定します。
この時点では、リース会社はまだ関与しません。
リース契約はリース会社とユーザーの間で取り決められるものであり、メーカーや卸売会社が契約にかかわることはありません。
ユーザーが製品のメーカーや卸売会社に、物品の具体的な仕様や価格などについて打ち合わせを行います。

リースの申し込み

ユーザーが、物品、メーカー、リース期間などを確認します。

審査

リース会社がユーザーを審査します。
これは、リース会社にとっては、貸し出した期間が長くなると、物品の転売が難しくなることを踏まえて、本当に使用料を払う能力があるユーザーに貸し出したいという思いがあるからです。
そのため、ユーザーの過去の財務諸表や業績を調べます。

リース契約を結ぶ

審査の結果、ユーザーに不審な点がないことを確かめて契約となります。

搬入

物品を搬入する
メーカーや卸売会社側が物品をユーザーに納入します。

リース開始

貸し出された物品に傷がないかユーザーが調査します。
納得したうえで借受証を発行し、物品の所有者はリース会社になります。

物品の保守・修繕

使用している期間中に物品の不具合に気づいたときには、ユーザーがメーカー・卸売会社に対して修理を依頼することができます。

リース料の支払い

リース契約の期間中は毎月、使用料をユーザーがリース会社に支払わなければなりません。

再リースまたは終了

契約期間が終了したのちに、契約内容に従ってリースを終了します。
若しくは、ユーザーの希望により、再リースの運びとなります。