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民法とリース

コピー機などOA機器をリースするには、リース契約を結ぶことになります。
一般的な契約では民法に従います。
したがって、リースも民法の規定に従うことになります。

民法の典型契約

民法では、典型契約という規定があって、
「贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、
 請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解」の13種類です。
このなかにリース契約は含まれていないのです。
すなわち、リース契約は、典型契約ではありません。

リースが典型契約にならないわけ

ファイナンス・リースのほとんどが事業者間で行われる取引で、ユーザ一とリース会社間で契約書が交わされており、民法にファイナンス・リースを規定しても、誰がその規定を使うか想定されません。
このため取引実態上の必要性がまったくないといわれ、改正もしてもらえないというわけです。

リースが典型契約だったら

もしファイナンス・リース契約が民法の典型契約となったら、ユーザーとリース会社間のトラブルが生じて裁判となるようなときに民法が判断基準となります。
今までの規定では任意であったので合意ですんでいた問題が裁判沙汰になりかねません。
リースを典型契約にすると、よい面と悪い面の両方があるということができます。

リースは契約に基づいて行われる

リースは契約として行われます。
リース契約には、ユーザー、リース会社、サプライヤーの三者が関わることになります。
ほとんどのリース契約において、契約書が作られることになります。

リースは契約


OA機器をリースしようとした場合リース契約が発生します。
リース取引は、リース会社とユーザ一とのリース契約、リース会社とサプライヤーとの売買契約から成り立っています。
これらの契約はそれぞれ別個の契約ですが、契約条項は密接に関係しています。

契約に必要な基本的要素

リース会社はユーザーが希望する機器、メーカーを受け希望メーカーから購入しユーザーに届けることになります。
リース物件の所有権はリース会社にあります。
リース料のなかには、物件の購入代金や利息や手数料など、リースに関する費用すべてが含まれています。
リース契約は、契約期間の途中で解約することはできません。
物件の保守などメンテナンスはユーザーが行うことになります。
物件の欠陥、紛失、危険負担や瑕疵担保責任に関してリース会社は負担しません。
これらの文面を契約書には記載する必要があります。
その他、ユーザーの不渡り、倒産などに伴うリース料の不払い等は契約違反になり、支払い義務は残ります。

リースは自由に契約できる

リース契約を一般的に規定する法律はありません。
したがって、リース契約は民事法の一般原則「契約自由の原則」に従います。
リースを業として行う場合にも規定する法律は存在しません。

特別な法律がない

リース契約について定めた特別な法律が存在しません。
民法や商法にも具体的な定めがないため、リース契約に関しては、民事法の一般原則である「契約自由の原則」に従って行われることになります。
契約自由の原則というのは、契約締結の自由、相手方選択の自由、契約内容の自由、契約方式の自由という4つの自由のことをいいます。

リースは契約自由の原則に従う

自由に決められます
リース契約が契約自由の原則に従うということは、契約の当事者であるリース会社とユーザーとが契約内容を自由に定めることができるということですが、契約書を作成するのが一般的となっています。
契約書に関しては、公益社団法人リース事業協会がリース契約の基本的な事項を定めた「リース契約書(参考)」を作成して公表しています。

事業としてのリースにも特別な法律はない

リースを事業として行う場合にも、特別な法律があるわけではなく、国等に届け出る必要はありません。
ただし、中古品をリースする場合には、多少の注意が必要です。
リース会社は、買い取った中古品をユーザーにリースすることになりますが、その中古品をリース期間満了後に売却する場合には、リース会社は古物営業法の許可を得る必要があります。

東日本大震災へのリース会社の対応と課題

2011年3月11日に発生した東日本大震災はリース業界にどのような影響を与えたのでしょうか。

震災が与えた影響はいろいろな業種にあります。

電気を供給する会社は、既存の電化製品だけでなく、太陽光発電などの再生可能エネルギーに着手するようになりました。

では、リース業界の変化をご紹介しましょう。

災害時のリース契約

基本的に、地震等の自然災害が発生したときに、リース契約を結んで使用していた物品が破損した場合、その責任の所在はユーザーにあります。

つまり、契約期間中に物品が破損したときも、ユーザーはリース会社に契約期間の分の使用料を払わなければいけないのです。

使用料を支払い終えるまで、たとえ、もう物品を使用することができない状況でも、契約は終了しないということになります。

そのため、地震と津波で被害を受けて、借りていた物品どころか、工場自体の運転ができなかったというのに、リース会社への使用料に苦しめられた地元企業も多くいました。

リース会社の災害への対応

その対策として、ユーザーからの要望により、リース会社は使用料の支払いに猶予を設けることにしました。

また、震災からの復興支援策をリース会社が担っていました。

それは、ほかの契約終了物品をリース会社から被災地の企業に送ったことです。

これによって被災地の企業からは大変喜ばれ、復興支援に携わることができました。

以上が、震災時のリース会社の対応です。

浮かび上がった課題

物品が破損した後にも、契約期間の分の使用料は払わなければいけないというのには理由があります。

地震や津波の時の損害には、損害保険会社の補償が及ばないのです。

日本に多い、地震や津波に対する補償を、リース会社や損害保険会社が行うということが課題として浮かび上がりました。

契約申し込みからリース終了まで

ここでは、一連のリース契約の流れを説明します。

企業が設備投資をするときに、購入するならば、物品を選んですぐに使用することができます。

しかし、リース契約を結び、物品を使用するのには、申し込みからリース期間の終了までに、複数のプロセスを踏まなければなりません。

物品の選定

利用したい物品をユーザーが選定します。
この時点では、リース会社はまだ関与しません。
リース契約はリース会社とユーザーの間で取り決められるものであり、メーカーや卸売会社が契約にかかわることはありません。
ユーザーが製品のメーカーや卸売会社に、物品の具体的な仕様や価格などについて打ち合わせを行います。

リースの申し込み

ユーザーが、物品、メーカー、リース期間などを確認します。

審査

リース会社がユーザーを審査します。
これは、リース会社にとっては、貸し出した期間が長くなると、物品の転売が難しくなることを踏まえて、本当に使用料を払う能力があるユーザーに貸し出したいという思いがあるからです。
そのため、ユーザーの過去の財務諸表や業績を調べます。

リース契約を結ぶ

審査の結果、ユーザーに不審な点がないことを確かめて契約となります。

搬入

物品を搬入する
メーカーや卸売会社側が物品をユーザーに納入します。

リース開始

貸し出された物品に傷がないかユーザーが調査します。
納得したうえで借受証を発行し、物品の所有者はリース会社になります。

物品の保守・修繕

使用している期間中に物品の不具合に気づいたときには、ユーザーがメーカー・卸売会社に対して修理を依頼することができます。

リース料の支払い

リース契約の期間中は毎月、使用料をユーザーがリース会社に支払わなければなりません。

再リースまたは終了

契約期間が終了したのちに、契約内容に従ってリースを終了します。
若しくは、ユーザーの希望により、再リースの運びとなります。