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リースの会計と税制

設備を導入する必要がある場合、リースを利用する選択肢において、リース会社に関して適用される制度があります。
リースには、リース独自の会計処理方法や特別の税制に従います。

会計の場合


リース会計基準における資産の計上方法を説明します。
所有権移転ファイナンス・リース取引と、所有権移転外ファイナンス・リース取引とでは、扱いが異なります。
すなわち、リース会社は、所有権移転ファイナンス・リース取引についてはリース債権として、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース投資資産として資産に計上します。
それから、次の3つの方法で会計処理を行います。
リース取引開始日に売上高と売上原価を計上する方法、リース料受取時に売上高と売上原価を計上する方法、売上高を計上せずに利息相当額を各期へ配分する方法という3つの方法のうち一つを選択して会計処理を行います。

税制の場合

リース税制では、リース会社がリース取引に関して、リース讓渡を行ったものとされます。
すなわち、長期割賦、販売等として所得の計算をします。
そのため、リース料収入は売上として計上するので、益金となり、売上原価を損金に算入できます。
リース会計基準の適用をうけるリース会社は、利益が前倒しになることから、税務上、利息相当額部分を20パーセントにして、所得の計算をすることを選択することが、特例で認められています。

通達から法令でのリース税制へ

最近まで整備されていなかったリース税制は、平成10年度の税制の改正によって、ようやく整備されました。
今では、法人税法がリースの取引を規定しています。

税制の不備

実は、リース関係の税制は最近まで整備されていませんでした。
平成10年度の税制改正で、「法人税法施行令」に、「リース取引」の規定が設けられるまでは、通達しかなく、国税庁長官通達で定められていました。
それには「リース取引に係る法人税及び所得税の取扱いについて」と、「リース期間が法定耐用年数よりも長いリース取引の税務上の取扱いについて」の2つの種類がありました。
これらの2つの通達が、リース取引に関する税務上の取扱いを規定していました。

税制の整備


しかし、リース取引の税務上の扱いが法的な根拠がないのは問題であるとして、平成10年度税制改正で、ようやくリース税制が法制化されています。
すなわち、国外にあるリース資産の減価償却方法を規定すると同時に、法人税法施行令でもリース取引を規定しています。

法人税法で規定

さらに、平成19年度税制改正で、リ一ス会計基準と税務との調整を図り、法人税法がリース取引を規定しました。
リース税制において、「リース取引とは、資産の賃貸借で、賃貸借期間の中途において解除をすることができないもので、賃借人が賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができると同時に、資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているもの、という要件をいずれも満たす取引のことをいいます。
これは、ファイナンス・リース取引にあたります。
リース税制は、リース取引を「所有権移転リース取引」と「所有権移転外リース取引」に分類します。
ユーザーは、所有権移転外リース取引のリース資産について、リース期間定額法にしたがって減価償却を行います。

消費税の取扱い

リース取引の消費税では、法人税と同じように、賃貸人から賃借人へのリース資産の売買とみなします。
つまり、ユーザーはリース取引をはじめた時点で、リース料総額でリース資産を譲り受けたと処理され、リース料総額にかかる消費税額を仕入れに係る消費税として処理します。