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ソフトウェアのリース

リース取引に用いられるのは、何もコンピュータや自動車などの有形のものだけではなく、ソフトウェアなどの無形のものもあります。

無形のものの中でも、ソフトウェアのリースがどのようになされるのかを紹介します。

ソフトウェアには形がない


リース取引の中でも、物品は有形のものと無形のものにわかれており、無形のものの中でも代表的なものがソフトウェアです。

有形のものも無形のものも取引自体の仕組みにはあまり変わりがありません。

ただ、ソフトウェアのほうが、多少ソフトウェア開発会社とユーザーのかかわりが近いことが言えるのではないでしょうか。

有形のコンピュータや自動車の場合のメーカーや卸売会社が、ソフトウェア開発会社になるのです。

ソフトウェアをリースするには

まず、ユーザーがほしいソフトウェアをリース会社に求めることは変わりません。

その次に、要望を受けたリース会社が開発会社からソフトウェア使用権を買い取ります。

そして、リース会社が買い取った使用権をユーザーに貸し出します。

この時、貸し出すソフトウェアの種類には2種類あり、1つ目はリース会社が貸出し用に持っているものです。

もう1つは、開発会社からリース会社が買い取った使用権をユーザーに貸し出すというものです。

最後に、契約期間終了時ですが、ユーザーから契約期間終了の知らせをもらったリース会社は、その知らせを開発会社に送ります。

そうすると、開発会社はユーザーの元に向かい、ソフトウェアをパソコンから取り除く手続きをとります。

以上が、ソフトウェアのリースの仕組みです。

官公庁向けのリース取引

民間企業とリース会社との取引だけでなく、地方自治体や官公庁との取引にも、リースは使われています。

ここでは、一般企業に用いられるリース取引と、官公庁で用いられるリース取引にはどのような違いがあるのか、また、官公庁がリース取引をするメリットを紹介します。

一般企業との違い

一般企業に対して用いられるリース取引とは違い、官公庁のリース取引は、その数がいまだ少数です。

しかし、それでも一定数のリース取引は存在し、官公庁の中で、リース契約が結ばれることはあります。

取引件数以外に、どのような部分に違いがあるのでしょう。

官公庁の予算は、1年ごとに定められています。

そのため、数年にわたって契約を結ぶことができず、使用期間が数年にわたっていても、毎年契約を新しく締結しなければなりません。

リース契約をするメリット

一般企業とは異なる特徴を持つ官公庁がリース取引を用いるメリットはどこにあるのでしょうか。

官公庁でよく使われる物品は、コンピュータやソフトウェアなどの電子機器が中心です。

これは、近年事務の電子化が進んでいることが背景にあります。

国の予算編成の動きの影響もあるでしょう。

そのため、初期の設備投資にかける金額を抑えることができるリース取引は、官公庁にとっても魅力的なのです。

また、毎年設備の使い心地やシステム導入の段階を踏んでいくことで、計画的にシステムの更新をすることができるメリットもあります。

官公庁でも、リース契約をするメリットがあることがわかったと思います。

今の状況を改善するための手段として、広くリース契約を利用してみてはいかがでしょうか。

メンテナンス・リースとは

メンテナンス・リースとは、通常のリース取引に物品の保守・修繕がサービスとして付いたものです。

数年にわたって契約をし、物品を使用する利用者にとって、物品の保守と修繕がついていることは安心です。

また、借りているものに不具合を生じさせてしまったことに対する不安を軽減させてくれます。

メンテナンス・リースが選ばれる理由


メンテナンス・リースとは、通常のリース取引に、契約の段階から物品の保守・修繕がサービスとして付いているものを指します。

特に、自動車の分野で急速に普及しています。

自動車の場合、定期的に車検をすることなどが法令によって定められていることが、その要因です。

契約の時点から、自動車の使用にかかわる金額を予想することができるので、リース会社も保守・修繕にかかる費用を使用料金に組み込むことができるのです。

また、自動車を使用することには、納税などの諸手続きが欠かせません。

それらの諸手続きを契約に組み込むことによって、手続きを簡単にすることができます。

ユーザーとリース会社の双方にメリットがある

ユーザーにとっては、修繕が必要になった時に毎回手続きの費用を支払う手間がなく、しかもリース会社が最初から最後まで一貫して面倒を見てくれるので、安心ということができます。

リース会社にとっては、貸し出した後の物品がどのように使用されているのかを把握することができます。

使用頻度や使用状況を把握することにより、契約終了時の物品を転売する方法を予想することが容易になります。

メンテナンス・リースは、ユーザー、リース会社の双方にとってメリットがある取引の方法なのです。

オペレーティング・リースとは

現在のリース取引でもっともよく使われているのは、ファイナンス・リースです。

これは、リース会社がリースする際に使った金額を全額ユーザーから回収することができ、契約期間中の中途解約ができないというのが特徴です。

しかし、近年オペレーティング・リースが注目を集めています。

その理由を説明しましょう。

中途解約できる

オペレーティング・リースはファイナンス・リースとは違い、中途解約ができる、リースにかかった全額は回収しないことが特徴として挙げられます。

そのため、リース契約が終わった物品を再び利用することができれば、資金面で損をすることはありません。

もしも、ユーザーが契約時の契約期間を待たずに物品を返却しても、ユーザーの使用状況によっては中古市場にそのまま物品を転売することができます。

ファイナンス・リースのように、リースにかかった金額をすべて回収することはなくても、契約終了とともに返却された物品を中古市場に投入することで、収入を得ることができます。

特に、中古市場が充実しているのが、自動車業界です。

中古車を自家用車として選ぶ消費者も一定数います。

そのため、過去にリース用に貸し出しを行っていた自動車を中古として転売しても、収益を得ることができるのです。

自動車はオペレーティング・リースを用いる物品といってもいいでしょう。

購入前のお試し使用ができる

メーカー・卸売会社が通常の商品販売に加えて、リースをサービスに取り入れているのには理由があります。

その一つが、商品を購入する前に、商品を使ってもらえるということです。

これは、メーカー・卸売会社だけではなく、ユーザーにもメリットがあることです。

いわば、お試しの期間が生じるわけです。

お試し使用

販売会社が通常の商品販売とリースを並行して行っている場合、ユーザーは使ってみて購入を検討する期間を与えられるのです。

新規事業に必要になった機器を購入するかどうしようか検討しているときに、リース契約をするをすることによって、あらかじめその機器の使用感を確かめることができるのです。

新規事業にどうしても必要な機器だとしても、本当に使ってみたらどうなのかは、いくら営業担当者から説明されてもわからないものかもしれません。

そんな時に、販売会社がリース取引も行っていると、契約期間中に物品の使用感を実感することができるのです。

車の購入を検討するときの試乗と似ています。

リースの契約期間中に使用感を気に入ったならば、その物品を購入するのもいいいでしょう。

また、購入しないまでも、気に入った物品を必要な時だけリースすればいいのではないでしょうか。

販売店がリース取引をしていると、販売店側には販売促進になるだけではなく、ユーザーもお試し使用ができるという利点があります。

リースと購入の比較

設備投資をリースで行うのと、購入するのでは、どちらが得なのでしょうか。

多くの場合、設備投資をリース契約によって行ったほうが、購入する場合よりも安く済むのだと考えられています。

実際に購入よりもリースのほうが得かということは、経済面だけでないメリットを総合的に考えなければなりません。

支払い可能か

リースと、購入のどちらにメリットがあるか、経済的な視点から考えましょう。

初期設備をすべて購入するとすると、一度に多くの金額を流出してしまうことになります。

反対に、初期設備をリース契約によって賄うことにすると、購入時のように一度に一定額を支払うことがなく、毎月一定の使用料をリース会社に支払うだけで、購入した場合と変わらない設備を整えることができます。

機器の使用実態から選ぶ

リースと購入のどちらにメリットがあるか、経済面以外の視点から考えましょう。

機器の使用実態によっては、購入するよりも、リースしたほうがいい場合があります。

反対に、リースよりも、購入したほうがいいという場合もあります。

例えば、新しい事業にどうしても必要な工事用機械を導入したいと考えます。

ここで、その工事用機械がどれほどの頻度で使われるかということを考慮しましょう。

もしも、その工事用機械を使うのが、その事業をしている数年の期間で終わってしまって、その後は全く使わないことがわかっているなら、購入した場合の将来の維持費がもったいないことにはならないでしょうか。

反対に、その事業が会社の事業として正式に組み込まれることがわかっているのだとしたら、一時的に期間を定めてリース契約を結ぶよりも、購入したほうが、再リース契約を結ぶ手間を省き、将来の投資にもなります。

機器の使用実態を考慮に入れる際には、今現在の使用状況だけではなく、将来的な使用状況も考えましょう。

東日本大震災へのリース会社の対応と課題

2011年3月11日に発生した東日本大震災はリース業界にどのような影響を与えたのでしょうか。

震災が与えた影響はいろいろな業種にあります。

電気を供給する会社は、既存の電化製品だけでなく、太陽光発電などの再生可能エネルギーに着手するようになりました。

では、リース業界の変化をご紹介しましょう。

災害時のリース契約

基本的に、地震等の自然災害が発生したときに、リース契約を結んで使用していた物品が破損した場合、その責任の所在はユーザーにあります。

つまり、契約期間中に物品が破損したときも、ユーザーはリース会社に契約期間の分の使用料を払わなければいけないのです。

使用料を支払い終えるまで、たとえ、もう物品を使用することができない状況でも、契約は終了しないということになります。

そのため、地震と津波で被害を受けて、借りていた物品どころか、工場自体の運転ができなかったというのに、リース会社への使用料に苦しめられた地元企業も多くいました。

リース会社の災害への対応

その対策として、ユーザーからの要望により、リース会社は使用料の支払いに猶予を設けることにしました。

また、震災からの復興支援策をリース会社が担っていました。

それは、ほかの契約終了物品をリース会社から被災地の企業に送ったことです。

これによって被災地の企業からは大変喜ばれ、復興支援に携わることができました。

以上が、震災時のリース会社の対応です。

浮かび上がった課題

物品が破損した後にも、契約期間の分の使用料は払わなければいけないというのには理由があります。

地震や津波の時の損害には、損害保険会社の補償が及ばないのです。

日本に多い、地震や津波に対する補償を、リース会社や損害保険会社が行うということが課題として浮かび上がりました。

リースにかかわる会計

リース取引に関連する会計を理解するために、世の中の会社がどのような会計制度に基づいているのか、理解しておきましょう。

また、リース取引が、一般的な会社の会計とはどのように違うのか、その違いを理解しましょう。

トライアングル体制とは

日本に特徴的な会計の体制に「トライアングル体制」というものがあります。

これは、日本に存在する会社はすべて、会社法・金融商品取引法・税法の3つを守らなければならないことを表しています。

会社法は、会社の会計にとって必要不可欠な貸借対照表、損益計算書を書く時に必要です。

貸借対照表は会社の資産がどのくらいあり、また負債がどのくらいかさんでいるのか、会社の財務状況を示すものです。

損益計算書は、会社の支出と収入を照らし合わせて、最終的な利益を算出するためのものです。

金融商品取引法というのは、証券市場において取引をしている上場企業が守らなければいけないルールです。

税法は、会社が利益を出し、社会に影響を与える存在である以上、守らなければならないものです。

会社を経営していくときにも、上場企業として証券取引所で売買をするにしても、課税の対象から外れることはありません。

この3つの法律が密接にかかわりあって、会社の会計は成り立っているのです。

リース契約にかかわる法律

リース取引における会計体制を紹介します。

会社法には「リースにより使用する固定資産」に関する規定があります。

金融商品取引法には、リース取引をする会社がどのような財務諸表を書けばいいのか、その規定があります。

税法については、金融商品取引法に基づいてきちんと財務諸表を作成すれば、いちいち法人税や所得税の申告をする必要はありません。

リースを選ぶメリット・デメリット

ここでは、リースを利用することのメリットとデメリットについて説明します。

特に、通常の設備投資の方法として考えられる購入と比べて、どのようなところがメリット、デメリットとなるのか比較します。

リースのメリット

企業がリースを選ぶ一番のメリットは初期投資金額の軽減だといわれています。

新しい事業を始めようとするときに、その事業に必要な設備をすべて購入という形で賄おうとすると、購入の時点で会社の資金が一気に出てしまうことになります。

しかし、リース契約を選択すると、会社の資金が一度に出ることはありません。

リース会社に月ごとに使用料を支払う必要はありますが、購入とは違い資金が一度に無くなることはありませんので、使用料を支払いながら、ほかの事業を進めることもできます。

初期の設備投資の費用が抑えられることが、リースを選択する大きなメリットだといえます。

リースのデメリット

リース会社所有のものよりも、自己所有した方が安心ということもあります。

製造業の事業にかかわる設備の場合、何かの拍子に機器が壊れてしまうこともあります。

その機器を使う頻度が高く、事業の中でも大切な役割をその機器がこなしている場合には、その可能性が高くなります。

契約期間中に何度も、修理依頼をリース会社を通してするのは面倒だし、すぐに使えるような状態にしなければいけないのに、その時間がもったいない、という理由でリースよりも購入を選ぶこともあります。

リースのデメリットといえるでしょう。

リース契約にかかる金額の内訳

ここでは、リース契約にかかる料金について説明します。

ファイナンス・リース取引では、ユーザーに対してリース会社が支払う料金の内訳を公表することはありません。

しかし、ここではリース料金がどのように設定されているかを見るために一部の内訳を説明します。

物品の所得にかかる金額

ユーザーがリース会社に「この物品を使いたい」という要望を伝えた後に、リース会社が購入を検討します。

リース会社がメーカーや卸売会社と交渉して購入しますが、その金額はユーザーとリース会社の交渉によって決まったものに基づきます。

そのため、リース会社とメーカー・卸売会社の間で値段が決まることはありません。

リース会社の資金調達にかかるコスト

リース会社は大量の物品をリース用として購入しています。

このための資金の一部が契約にかかる費用にかかわっています。

リース会社はこの資金を調達するために、銀行などの大型金融機関から資金を借りるほか、約束手形や社債を発行し、その資金を投資家から調達します。

ファイナンス・リースの場合、物品を購入する際にリース会社が支払ったコストを、ユーザー側から回収することができます。

固定資産税

固定資産税というと、土地や家屋にかかる税金というのが一般的なイメージです。

家屋は固定資産税の対象となる

しかし、リース会社が扱う物品にも関わるものなのです。

固定資産税は物品の所有者にかかる税金なので、契約時の所有者、つまりリース会社が負う税金なのです。

ファイナンス・リースの場合、この固定資産税を含めた金額を契約によってユーザーから回収することになります。